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探偵と 艶火鉢

 ⾚と⻘が融け合った、艶やかな⽕鉢の中で。
 そのとき、⽢く、芳醇な煙が⽴ち昇りました。
 ゆらめく先に⾝をくねらせて──それは燃えていたのです。





 

あらすじ

古い友⼈が死んだ。他に⾝寄りのない、いわゆる天涯孤独の⼈間だった。
友⼈は弁護⼠に遺⾔状を預けていた。⽈く財産の⼀部をかつて親友であった貴⽅に譲りたいという。
探索者たちは相続の確認も兼ねて彼が最期の時間を過ごした辺境の地、北海道の和芹村へと向かうが、そこで彼の死にいくつか不審な点があることを知る。

調査⽬標:友⼈はなぜ死ななければならなかったのか


概要

ジャンル

因習村/フォークロア/ホラー/ミステリー

人数

指定なし(最大5人程度まで)

所要時間

Tekey使用 ¦ テキセ21~25時間程度

ロスト率

低~中(人数によって変動)

推奨技能

推奨技能:《目星》《図書館》《聞き耳》
準推奨技能:《回避》《戦闘技能》


備考①

リアルINT不要の全⾃動推理シナリオです。判定次第で探索者が勝⼿に推理を⾏い、勝⼿に謎を解明していきます。
また探索者のかっこいいところを⾒たいがために、⼀部判定の失敗を成功に変えるオリジナルシステム〈名探偵特徴表〉を採⽤しています。継続探索者の参加可能、⼈数フリーです。

備考②

探索者の要項は問いませんが、調査⽬標「友⼈はなぜ死ななければならなかったのか」の解明について⾼いモチベーションを持つキャラクターがひとり以上揃っていることが望ましいです。
本シナリオの舞台は閉鎖されていないため、探索者の判断次第でいつでも撤退し、シナリオを終了することができます。

備考③

本シナリオにデストラップ・初⾒殺しの要素は存在しません。「◯◯を調べたからロスト」「××を調べなかったからロスト」などの要素はありません。NPCとの会話で踏み込みすぎる、警戒される、地雷を踏むなどによるロストや⾼難度化もありません。ロールプレイはズバズバ突っ込んでいって⼤丈夫です。

備考④

探索者は現地への移動に⾶⾏機を経由するため、銃⽕器や⼤型の刃物は持ち込めません。



名探偵特徴表

本項に記載するのがオリジナルルール〈名探偵特徴表〉であり、
これらは⽇常では滅多に使うことのない、記憶の底にしまわれた謎解きのための知識や能⼒を意味する。
特徴はNo.01~05の計5種類を⽤意しているので、これを相談して重複のないよう探索者たちに分配する。
これらは継続探索者であっても追加で取得できる。

例えば……
5⼈の探索者で分配する場合、各々が1つずつ特徴を取得しても、1⼈が5つを独占しても良い。
2⼈の探索者で分配する場合、1⼈が2つ、もう1⼈が3つの特徴を取得するなどの形になる。

No.01-ラボラトリ

貴⽅は⼀般に知られていない化学物質や薬物について特異的かつ実践的な知識を有する。
貴⽅は〈化学/薬学/地質学〉の値を〈EDU×3〉とすることができる。
また貴⽅は何らかの判定に挑戦したとき、その判定を無効にすることで、そのダイスを“キープ”できる。
〈化学/薬学/地質学〉の判定に失敗したとき、代わりに“キープ”したダイスを適⽤できる。


No.02-解体新書

貴⽅は⼈体の構造や作⽤について学んだことがあるか、あるいは本能的な理解をしている。
貴⽅は〈医学/⽣物学〉の値を〈EDU×3〉とすることができる。
また貴⽅は何らかの判定に挑戦したとき、その判定を無効にすることで、そのダイスを“キープ”できる。
〈医学/⽣物学〉の判定に失敗したとき、代わりに“キープ”したダイスを適⽤できる。


No.03-ケントの花

貴⽅の発達した脳はさまざまな物理現象を精密に演算する。
貴⽅は〈物理学/天⽂学〉の値を〈INT×4〉とすることができる。
また貴⽅は何らかの判定に挑戦したとき、その判定を無効にすることで、そのダイスを“キープ”できる。
〈物理学/天⽂学〉の判定に失敗したとき、代わりに“キープ”したダイスを適⽤できる。


No.04-パッチワーク

貴⽅は特異な⼟着信仰や密教、⺠俗学などに精通し、それらを繋ぎ合わせるひらめきに優れる。
貴⽅は〈⼈類学/歴史/オカルト〉の値を〈INT×4〉とすることができる。
また貴⽅は何らかの判定に挑戦したとき、その判定を無効にすることで、そのダイスを“キープ”できる。
〈⼈類学/歴史/オカルト〉の判定に失敗したとき、代わりに“キープ”したダイスを適⽤できる。


No.05-ユダの窓

貴⽅は警察組織や裏社会の事情に明るく、法的な⽴ち回りについて妙な機転が利く。
貴⽅は〈法律/経理〉の値を〈EDU×3〉とすることができる。
また貴⽅は何らかの判定に挑戦したとき、その判定を無効にすることで、そのダイスを“キープ”できる。
〈法律/経理〉の判定に失敗したとき、代わりに“キープ”したダイスを適⽤できる。


※ダイスのキープについて
例えば貴⽅が〈⽬星50〉の判定で42という結果を出し、技能に成功したとする。
このとき“キープ”を宣⾔すると〈⽬星〉の結果は無効になるが、代わりに42のダイスを“キープ”できる。
また貴⽅のEDUが18であり名探偵特徴〈No.01-ラボラトリ〉を取得していたとする。
貴⽅が〈化学54(EDU×3)〉の判定に失敗したとき、代わりに“キープ”した42のダイスを適⽤できる。
すると判定の難易度は54、ダイスは42なので、この判定は成功となる。
同時に“キープ”できるダイスの数は、そのキャラクターが取得している名探偵特徴の数までとする。

〈名探偵特徴〉を⽤いた遊び⽅の例として、以下を想定している。
・常に低い出⽬をキープしておくことで専⾨分野の判定を安定させる。
・探索者の解釈に合わない技能判定の成功を失敗にできる。
・参加する探索者全員に特徴を等分して振り分ける。
・⼀⽅の探索者に特徴の数を偏らせ、探偵と助⼿のような⽴場のギャップを演出する。



事前情報

探索者が事前に得ている情報です。

友⼈、塩⾕京⼀郎について

1週間と少し前に死亡した探索者の友⼈。男性。怪奇⼩説家。
幼少期に⽕事で両親が他界し、今では妻も⼦もおらず他に⾝寄りもない、いわゆる天涯孤独の⾝であった。
両親から相続した莫⼤な財産をひとりきりで抱えたまま、北海道の和芹村という⼩さな村で最期を迎えた。
弁護⼠には以前から探索者を含めた何⼈かの友⼈を相続⼈とする遺⾔状を預けていたらしい。
どのような経緯で死亡したのかは聞かされていない。
彼の年齢はシナリオからは指定しないが、友⼈である探索者の年齢とおよそ相違ないものとなる。
プレイヤーは参加する探索者の中からひとり以上を彼の友⼈とし、それ以外の探索者は付き添いや旅⾏の同伴者として振る舞うのが円滑だろう。
かつて貴⽅たちが友⼈だったとある⽇の7⽉31⽇、ふとした夜道、貴⽅と塩⾕は真っ⾚なみなみのうお座流星群を⾒た。

和芹にぎせり村について

北海道有珠⼭に隣接する⼩さな村。
特筆するような名所があるわけではないものの、近隣の洞爺湖と同様、有珠⼭の地熱によって温められた地下⽔が温泉として利⽤され、1週間に1⼈か2⼈程度の客が訪れる。